ここ数年で、私たちの生活を直撃しているのが「物価高騰」です。食料品、交通費、光熱費……あらゆるものが値上がりし、特に収入の少ない若者たちにとっては、日々の食事すら「選べない」状況に追い込まれています。

今回は、昼食を“菓子パン一つ”でしのぐ若者たちのリアルな声と背景を紹介しながら、見えにくい“貧困のかたち”を考えます。


■ コンビニで選ばれる「108円の昼食」

東京都内で働く23歳の契約社員・翔太さん(仮名)の昼食は、コンビニで買う108円のチョコチップメロンパン。それだけです。

「正直、もっとちゃんとしたものを食べたいです。でも、1食500円かかるなら月に1万円以上吹っ飛びます。今は、交通費込みで手取り16万円しかないので、昼食にそんなに使えません。」

翔太さんは学生時代の奨学金の返済も始まり、月3万円以上を返済に回しています。家賃や光熱費、スマホ代を払えば、食費に回せるお金はごくわずか。結果として、「腹持ちより安さ」でパンを選ぶしかないのが現実です。


■ 栄養不足と体調不良の悪循環

管理栄養士の間では、「菓子パン昼食の若者が増えていることによる栄養失調・貧血の増加」が懸念されています。

30代女性の保健師はこう語ります。

「特に20代の女性に多いのですが、朝は抜き、昼は菓子パン、夜はインスタントという食生活をしている方が多い。体調不良を訴えて受診してみたら、貧血や低栄養が原因だった、というケースもあります。」

「お金がないから食べられない」が、「体調が悪くなり仕事に支障が出る」という、貧困のスパイラルに陥っている若者も少なくありません。


■ 食費を削って何を守っているのか?

Z世代の特徴として、通信費やSNS関連の支出は最小限にしたくないという傾向も見られます。
「ご飯は節約するけど、スマホのギガは絶対減らさない」──これは、今や“ライフライン”としてのネット環境がいかに重要かを物語っています。

「昼ご飯より推し活のほうが自分の心を保てる。パンでお腹は満たせるし、インスタでストレス発散するほうが重要。」(22歳・女性・フリーター)

つまり、“食”よりも“精神の安定”を優先している若者もいるのです。


■ 解決策はあるのか?

このような状況を改善するには、若者の生活に即した支援制度の見直しが求められます。

  • 大学生や若年社会人向けの食費支援プログラム
  • 安価で栄養のある食事がとれる地域食堂の普及
  • 奨学金返済の減免制度の強化
  • コンビニや企業と連携した余剰食品の無償配布

個人の努力だけでは限界があります。社会全体で“若者の食の貧困”に向き合う必要があります。


■ おわりに

「昼ごはんは菓子パンでいいや」と笑って話す若者の裏には、「本当はちゃんと食べたいけど、できない」現実があります。

あなたの周りにも、そんな人がいるかもしれません。
まずは知ること、そして話すこと。そこから小さな変化が始まります。


あなたの昼食は、大丈夫ですか?

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