2025年東京都議会議員選挙で注目された新興政治団体「再生の道」。
生活者視点の訴えや「政治の再生」を掲げ、都内各地に複数の候補者を擁立しましたが、結果は全員落選
注目度のわりに票は伸びず、有権者に浸透しなかった現実が突きつけられました。

では、なぜ「再生の道」は都民に受け入れられなかったのか?
今回はその理由を、具体例と共にわかりやすく解説していきます。


◆ 「再生の道」ってどんな政治団体?

「再生の道」は、都政における既成政党政治への不信感を背景に、

  • 無所属に近い立場での政策提言
  • 生活重視・脱利権
  • 市民参加型の民主主義

を掲げた新興勢力です。

街頭演説やSNSでは、

  • 「東京を取り戻す」
  • 「市民が主役の政治を」
  • 「公務員改革と税金の透明化」

といったスローガンを繰り返し訴えていました。


◆ なぜ全員が落選したのか?3つの主な理由


実績も知名度もない「無名集団」だった

都議選では候補者個人の地元知名度が非常に重要です。
「再生の道」の候補者はほとんどが政治経験ゼロの市民活動家や元会社員。熱意はあっても、

  • 「誰なのか分からない」
  • 「この人に本当に任せて大丈夫?」

という不安感が拭えませんでした。

▷ 例:足立区の有権者の声

「演説を聞いたけど、何をした人なのか分からなかった。政策は立派だけど“説得力”に欠けた」


政策が抽象的で、都政の現実とズレていた

「税金を減らす」「市民に権限を戻す」など、理念的には魅力的な訴えも多かったですが、実現方法や制度的な理解に乏しい印象がありました。

都議会の構造や予算制度、条例制定の仕組みを踏まえた提案でなければ、有権者は納得しません。

▷ 例:世田谷区での政策ビラ

「区立保育園は全て民営化します」「都庁職員を半分に減らします」
→ これらは実現困難であり、かえって不安を与える結果に。


他の反自民勢力との「差別化」に失敗

2025年都議選では、自民党に対する批判票が都民ファーストや立憲民主党、共産党に流れる傾向がありました。
「再生の道」は中道・無所属系を狙ったものの、埋もれてしまった感は否めません

  • 都民ファースト=都政の“現実路線”を主張
  • 立憲や共産=全国組織による後押しあり
  • 再生の道=ネット発の草の根運動だが、組織力不足
▷ 例:中野区では同様の主張をする無所属候補が上位当選

→ 再生の道の候補者は話題性も組織票もなく、得票を伸ばせず敗北。


◆ 都民が求めていたのは「即戦力」

今回の選挙では「政治を変えたい」という空気が強まっていました。
しかしそれと同時に、有権者はこうも感じていたのです。

「理想よりも、まず“都政を動かせる人”に託したい」

その点で、再生の道の候補者たちは、

  • 実務経験がなく
  • 単独では都議会で通用せず
  • 一議席も取れない=提案力が期待できない

と見なされ、「応援したい気持ちはあるけど、現実的に難しい」と判断されたのです。


◆ SNSでは人気でも、リアルな投票につながらず

再生の道はYouTubeやX(旧Twitter)で積極的な発信をしており、特定層には高い支持がありました。
しかしその支持層は、

  • 若年層(10~30代)
  • 投票率が最も低い層
  • ネット上では盛り上がるが、投票所には行かない傾向

だったのです。

▷ 例:新宿区の20代学生

「政策は面白いし応援してたけど、バイトがあって投票行けなかった…」


◆ 今後「再生の道」が生き残るには?

  1. 地元密着の活動を始めること
     → 顔が見える、信頼できる政治家を育てる
  2. 都政に特化した具体的政策の提示
     → 感情論ではなく、制度に基づいた実現可能性のある提案を
  3. 他会派や無所属との連携強化
     → 単独ではなく、“現実の議会”で影響力を持てる戦略を構築

◆ まとめ:理念だけでは勝てない都議選の現実

「再生の道」は、有権者の不満や変革への願いを吸収する可能性を秘めた存在でした。
しかし、理念や感情だけでは票は取れないのが、現実の選挙です。

有権者が求めているのは、

“東京を本当に動かせる人材”

であり、熱意や言葉以上に具体性・現実性・信頼が問われる時代に入っています。

それでも、「ゼロ」からの挑戦には意味があります。
次の挑戦が、単なる理想論に終わらない“本当の再生”になるか、注目していきたいところです。

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