はじめに
選挙とは、本来は民主主義の根幹を支える「清く正しい」国民の意思表示の場であるはずです。しかし、選挙戦が本格化するたびに、現実には不快な出来事が次々と可視化されます。
特に参議院議員選挙では、政策論争よりも“選挙妨害”や“陣営同士の中傷合戦”、そして“個人の欲”にまみれた行動がクローズアップされることが多くなります。この記事では、その背景や事例、そして私たちがどう向き合うべきかを掘り下げていきます。
1. 選挙妨害とは何か?
選挙妨害とは、候補者や政党の選挙活動を不法に妨げる行為です。主な例としては以下のようなものがあります:
- 演説中のヤジ・怒号・騒音を使った妨害
- 街頭演説の現場での暴力や威圧行為
- 選挙ポスターの破損や剥がし
- SNS上でのデマや誹謗中傷の拡散
- 候補者の街宣車の妨害や通報による業務妨害
実際、最近の選挙戦でも、候補者が演説を妨害される動画がネット上で拡散され、警察が出動する事態にまで発展した例もあります。
2. なぜ選挙になると“嫌な人間模様”が表面化するのか?
(1) 利害関係が剥き出しになる
選挙は「権力争奪戦」です。議席を取れば税金からの報酬や予算の配分、さらには政党の影響力が増す。だからこそ、政党も候補者も支援者も、時には“手段を選ばなくなる”のです。
(2) ネガティブキャンペーンの常態化
政策で勝てない候補者は、相手のスキャンダルや弱点を暴く「ネガキャン」に走りがちです。これは、候補者本人というより、周囲の“陣営”や支援者が率先して行うことが多いのが現状です。
(3) SNSの普及による匿名の“選挙私刑”
今やSNSは有権者の情報源であり、また選挙運動の場でもあります。しかし匿名性の高さから、誹謗中傷・虚偽投稿・なりすましなどが日常的に行われ、「選挙妨害の温床」となっています。
3. “よく”が暴かれる場、それが選挙
選挙戦を通じて浮かび上がるのは、利権を守りたい人々の姿です。
例えば:
- ある候補者が当選しなければ補助金が減ると危機感を持つ団体
- 地元企業の利益代表として候補を送り出す経済団体
- 議員秘書や職員のポストを得たい“側近たち”
表では「市民のため」と語りながら、裏では「自分の利益のため」に行動する。その構図が選挙によって可視化されるのです。
4. 「民主主義の祭典」が「欲望の露出場」に変わる瞬間
民主主義にとって、選挙は神聖なものです。しかし現実には、金、利権、憎しみ、欲望が渦巻く“人間劇場”になってしまっているのが現実です。
また、「選挙に関心を持て」と言われる一方で、こうした裏のドロドロを目の当たりにすると、「選挙なんて意味がない」「誰がやっても同じ」と冷めた見方をする人が増えてしまうのも問題です。
5. では、私たちはどう向き合うべきか?
- 選挙妨害やデマを見かけたら通報する勇気を持つこと
- 感情や印象ではなく、候補者の公約や実績を冷静に比較すること
- SNSでの拡散前に“事実確認”を忘れないこと
- 選挙の裏側を知ることで、むしろより成熟した民主主義を目指すこと
選挙がドロドロしているのは確かです。でもそれを知った上で、それでも一票を投じるということこそ、民主主義の“成熟”なのです。
おわりに
選挙は人間の“善”と“悪”の両面を浮き彫りにします。理想と現実のギャップに失望することもあるでしょう。でもそれを見つめ、変えようとすることこそが市民の役割です。
選挙妨害が蔓延している今だからこそ、私たち一人ひとりが「誠実な一票」を大切にしなければなりません。