2025年7月現在、関東地方に再び線状降水帯の発生が予想されており、特に東京都心を含む地域への影響が懸念されています。
このような状況では、集中豪雨によって河川の水位が急上昇し、都市型洪水や河川氾濫の危険性が高まります。東京には大小さまざまな河川が流れており、その多くが住宅密集地や交通インフラと隣接しているため、氾濫が起これば広範囲に被害が及ぶ可能性があります。
本記事では、東京都内で氾濫のリスクが高い主な河川とその特徴、過去の被害例、そして今できる対策を詳しく解説します。
線状降水帯の怖さとは?
線状降水帯とは、発達した雨雲が帯状に連なり、同じ場所に集中して大雨を降らせ続ける現象です。
数時間で月間雨量を超える大雨となることもあり、下記のような災害が一気に起こります。
- 河川の急激な増水・氾濫
- 下水処理能力を超える都市型内水氾濫
- 地盤の緩みから土砂災害
氾濫リスクの高い「東京の主要河川」一覧と特徴
① 荒川(あらかわ)
- 流域区:足立区・北区・荒川区・江戸川区など
- 特徴:一級河川。流域人口が多く、首都圏防災の要。
- 過去の事例:2019年台風19号では、流域の越水寸前に。荒川右岸(足立区側)は特に危険。
- 警戒点:荒川は堤防が高いが、ひとたび決壊すれば周辺は「海のようになる」とも言われています。
② 多摩川(たまがわ)
- 流域区:世田谷区・大田区
- 特徴:山間部から流れ、都市部に急激に流れ込む。
- 過去の事例:2020年10月、世田谷区・大田区で堤防近くまで増水。二子玉川で広範囲冠水。
- 警戒点:川崎市と都の境界。中流域の住宅地密集エリアが浸水しやすい。
③ 石神井川(しゃくじいがわ)
- 流域区:板橋区・北区・豊島区
- 特徴:都市型中小河川で、増水スピードが非常に早い。
- 過去の事例:2017年の局地豪雨で、板橋区赤塚周辺が浸水。
- 警戒点:石神井川の周辺は住宅が密集。数十分の豪雨でも氾濫の可能性。
④ 神田川(かんだがわ)
- 流域区:杉並区・中野区・新宿区・千代田区
- 特徴:都心を流れる地下区間が多く、排水能力に限界がある。
- 過去の事例:2005年と2014年に氾濫寸前の増水。
- 警戒点:善福寺川と妙正寺川の合流点などは水位が急上昇しやすい。
⑤ 隅田川(すみだがわ)
- 流域区:台東区・墨田区・中央区
- 特徴:荒川から分かれて流れる大河川。高潮や長雨による水位上昇の懸念。
- 過去の事例:高潮と大潮のタイミングが重なった2018年、高潮警報が発令。
- 警戒点:下町地域では地盤が低く、内水氾濫の危険がある。
過去の具体的被害例
- 2019年 台風19号:荒川の水位が氾濫危険水位を突破。足立区・北区・江戸川区の一部では高齢者避難情報発令。
- 2020年10月の多摩川増水:世田谷区では住宅の床上浸水、河川敷のグラウンド全滅。
- 2017年 板橋区・石神井川:局地的な集中豪雨でわずか1時間で道路冠水。
ハザードマップでリスクを「見える化」する
東京23区の各自治体では、洪水ハザードマップをPDF・Webで公開しています。
自宅、職場、学校、通勤経路が河川の近くにあるかを今すぐ確認しましょう。
いま取るべき行動は?
✅ 1. 気象庁や自治体の「水位情報」を確認
✅ 2. 浸水に備えた備蓄や防災用品の点検
- 飲料水・非常食・モバイルバッテリー・簡易トイレなど
- 浸水時の停電や断水を想定
✅ 3. 高齢者・子ども連れは早めの避難を検討
- 「レベル3(高齢者等避難)」が出たら即避難開始を
- エレベーターが止まる前に移動を済ませておく
まとめ
東京は「川が多い都市」です。線状降水帯が発生した際、中小河川を含む多くの河川が氾濫の危機に晒されます。
安全に避難できるかどうかは、事前の情報収集と準備にかかっています。
✅ まずはご自身の生活圏にどの川があるかを知ること。
✅ ハザードマップで水害のリスクを可視化すること。
✅ 気象情報を日常的に確認し、いざというときに**「迷わず動ける備え」**を整えておきましょう。