2025年7月10日、関東地方では夕方以降に線状降水帯が発生する可能性が高いとの予報が発表されました。特に懸念されているのが、東京都の北部を流れる荒川。
もしこの荒川が氾濫した場合、東京の一部が水没するような大規模災害につながる恐れがあります。
この記事では、「もし荒川が氾濫したらどうなるのか?」を、実際の被害想定・シミュレーション・過去事例をもとに、わかりやすく解説します。
そもそも荒川ってどんな川?
- 延長:約173km
- 流域面積:約2,940km²(埼玉県〜東京都)
- 東京都内の流域:足立区、北区、荒川区、江戸川区、板橋区、練馬区など
- 特徴:かつて「暴れ川」と呼ばれ、氾濫を繰り返してきた。現在は堤防が整備されているが、それでも「氾濫時の破壊力は日本一」といわれることも。
荒川が氾濫した場合、どこに何が起きるのか?
東京都建設局の洪水ハザードマップや国交省の浸水シミュレーションをもとに、以下のような被害が想定されています。
1. 足立区・北区・荒川区などが「水没レベル」の浸水
具体例:
- 荒川区・町屋エリア:最大5m以上の浸水(2階建住宅が屋根まで水没)
- 足立区・江北・扇エリア:広範囲が浸水し、約30万人が避難対象
- 北区・志茂・赤羽エリア:河川敷や商業施設、団地が冠水
2019年の台風19号では荒川の水位が「氾濫危険水位」を超え、一時的に避難指示が出されました。
2. 地下鉄・JRの一部が浸水、交通マヒ
想定される影響:
- 東京メトロ千代田線・南北線:一部区間で冠水し、長時間運転見合わせ
- JR京浜東北線・東北本線・埼京線:橋梁付近が水に浸かると運休の可能性
- 日暮里舎人ライナー:高架区間でも安全確認で長時間停止の可能性
→ 帰宅困難者が多数発生し、駅構内での一時避難を余儀なくされる事態も。
3. ライフラインの停止(停電・断水)
- ポンプ場が浸水すると下水処理が機能停止→下水が逆流・悪臭・感染症リスク
- 浸水エリアでは電柱・変電所が冠水→広域停電
- 水道管が破損→数日間の断水
4. 避難所の不足と混乱
- 足立区や江戸川区では、避難対象人口が数十万人に及ぶため、避難所の数が圧倒的に足りない。
- 避難できず自宅にとどまる“自宅避難者”も増加し、食料・水・トイレ不足の二次被害が発生。
荒川が氾濫する確率は?
気象庁・国土交通省によると、「100年に一度の大雨」が起きた場合、堤防の一部が越水・決壊するリスクがあるとされています。
さらに、線状降水帯のように短時間で異常な量の雨が降ると、想定を超える水位上昇が数時間で発生するため、事前の備えが必須です。
今すぐやるべき3つの備え
✅ 1. ハザードマップで「自宅の浸水深」を確認
✅ 2. 「垂直避難」の準備
- 自宅が1階であれば、2階以上へ移動する準備を。
- 高齢者・障害者がいる場合は早めの移動を。
✅ 3. 非常持ち出し袋の再確認
- 飲料水(3日分)・食料・携帯トイレ・懐中電灯・充電器
- 子ども・高齢者・ペット用の用品も忘れずに
まとめ:荒川は東京の“防災リトマス試験紙”
荒川が氾濫すれば、東京の北東部を中心に100万人単位で被災者が出る可能性があると言われています。
今回のように線状降水帯が予報されている日は、「まだ大丈夫」と思う油断が一番危険です。
「雨が強くなる前に帰る」
「今どこが危ないのかを把握する」
「ハザードマップと避難場所を事前に確認する」
——こうした小さな行動が命を守る一歩になります。