台風5号、もし東京を直撃したらどうなるのか?

2025年7月現在、台風5号は西日本から東日本へと進路を取りつつあります。予報円の中心が都心を通過する、いわゆる「直撃コース」となった場合、東京都内では過去の災害に匹敵、もしくはそれ以上の被害が想定されます。

以下では、東京直撃時に起こり得る具体的な被害を、項目別に詳しく解説します。


① 交通網の麻痺:帰宅困難者が大量発生

想定被害:通勤・通学・物流すべてに影響

  • 鉄道:山手線・中央線・京浜東北線などの主要路線が運休・間引き運転となる可能性が高く、帰宅ラッシュの時間帯に直撃すれば、駅構内が人であふれる危険な状態に。
  • 具体例:2019年の台風19号では、台風接近前に首都圏JR各社が「計画運休」を実施し、品川・新宿・上野駅などで帰宅困難者が多数発生
  • 高速道路:首都高の湾岸線や中央環状線などが強風や冠水で通行止めに。物流にも深刻な影響が出る。

② 大雨による「都市型水害」:下町エリアは特に危険

想定被害:中小河川の氾濫・地下施設の浸水

  • 荒川・目黒川・神田川など、東京都心を流れる河川は、中上流からの流入水が多く、短時間で氾濫危険水位を超える恐れがあります。
  • 具体例:2020年の台風10号接近時、目黒川が氾濫寸前まで増水し、五反田駅周辺で道路冠水が発生。
  • 地下鉄駅の浸水:丸ノ内線や大江戸線の地下駅は、排水能力を超えると階段から水が流れ込む危険あり。
  • ゼロメートル地帯(江戸川区・足立区・荒川区)では、自宅が水没するレベルの被害も想定される。

③ 強風による倒木・飛来物:住宅密集地ほど危険

想定被害:窓ガラス破損・電柱倒壊・大規模停電

  • 最大瞬間風速40m/s以上が予想される場合、街路樹が根元から倒れたり、看板やベランダの物干し竿などが飛ばされて歩行者に直撃するリスクも。
  • 具体例:2022年の台風15号では、大田区・目黒区で街路樹の倒木により車両が損傷、通行止めが相次いだ。
  • 電線が切れると停電が長期化。特にマンションの高層階では、エレベーターが停止し、断水になるケースも想定されます。

④ 停電・断水・通信障害:ライフラインが寸断される

想定被害:都心でも情報・エネルギーインフラが機能不全に

  • 東京都心はインフラが整備されているとはいえ、強風で電線や変電設備が損傷すれば、一部エリアで長時間の停電も。
  • 具体例:2018年の台風21号で、関西では高圧鉄塔の倒壊により1週間以上復旧しない地域もあった。
  • 停電時は、携帯基地局やWi-Fiルーターも使用不能になり、SNSやニュースが見られず情報難民化する恐れがある。

⑤ 食料・物資の供給混乱:スーパーから品物が消える

想定被害:物流の乱れ・買いだめパニック

  • 台風直撃前後は、トラック輸送が止まり、物流が遅延。都内でもスーパーの棚が空っぽになることは珍しくありません。
  • 具体例:2023年の台風で、多摩地区の大手スーパーではパン・水・缶詰が即日完売し、補充まで3日かかったという報告も。
  • コンビニやドラッグストアも早期閉店する可能性があるため、最低でも3日分の備蓄が必要です。

⑥ 災害弱者の孤立:高齢者・障がい者・独居世帯に影響

想定被害:避難の遅れ・情報不足・医療支援の困難

  • 災害時の移動が困難な人々は、避難指示が出ても迅速に動けず孤立しやすい。
  • 在宅医療や透析患者は、停電や道路寸断で医療サービスを受けられなくなる可能性も。
  • 具体例:2019年の台風19号では、福祉避難所への移動が遅れ、多摩地区で体調悪化による搬送事例が複数発生しました。

今すぐできる7つの備え

  1. モバイルバッテリー・懐中電灯・乾電池の準備
  2. 3日分以上の食料・飲料水の確保
  3. ハザードマップで自宅周辺のリスクを再確認
  4. ベランダや玄関周りの飛来物を撤去
  5. 窓ガラスに養生テープや段ボールで飛散防止対策
  6. 避難所や一時避難先の場所を確認
  7. 公式情報源(気象庁、自治体、NHK)をフォロー

まとめ:都市直撃型の台風は“静かな危機”

「東京は災害に強い」と思われがちですが、都市型の脆弱性はむしろ災害を大きくします。
特に「風」「水」「情報」「物流」の4点が同時に遮断されたとき、私たちは“静かなパニック”に陥ります。

台風5号がもし直撃すれば、ただの雨風では済まされません。
「早すぎる備え」が、最悪を回避する唯一の手段です。


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