政府や観光業界からは、「日本人が国内旅行に行かなくなっている」との危機感が強くなっています。観光統計では回復傾向と見える一方、旅行代理店など現場では「売上が回復していない」と深刻な声も。この記事では、その矛盾と原因を整理し、国内旅行の未来を読み解きます。
📉 国内旅行市場は停滞?それとも回復?
- 2025年の国内旅行者数は約3億500万人と、前年比102.7%と微増し、2019年比では104.7%と回復傾向に見えます JTB Corporation+2ツギノジダイ+2Japan Today+2JTB Corporation。
- しかし、2025年3月の大手43社では国内旅行の取扱額が前年同月比29.3%減、人数では48.2%減と大幅な落ち込みを記録しています Travel Voice。
- 同3月、旅行会社の総売上は17%減となり、旅行業界全体が苦しんでいます Travel Voice。
この差は、「延べ旅行者数」ベースでは旅行回数が多い一部層に支えられている一方、旅行会社経由の旅行やパッケージ需要が低下していることを示しています。
🧭 減少の裏にある「乗れない構造」
1. 高齢化と休暇取得の壁
- 若年層(10〜20代)の旅行経験率は高い一方、70代以上では明らかに旅行に行かない層が増加。全体の潜在需要が縮小しています ツギノジダイ。
- 中高年層で多く聞かれる理由は「仕事で休みが取れない」「家計に余裕がない」、高齢層では「健康上の理由」 ツギノジダイ。
2. 経済的負担と混雑回避志向
- 旅行先を敬遠する理由では、「混雑が嫌」「家計に余裕がない」「興味がない」という声が目立ち、混雑・物価高を嫌う傾向が強い JTB CorporationJTB Corporation。
- 都心近郊や人気観光地では、価格高と混雑を避けて旅行時期をずらす「分散型旅行」傾向が加速しています Travel Voice+9tourism.jp+9JTB Corporation+9。
3. 外国旅行へのシフト?本当の理由は…
- 近年は円安・海外旅行費用上昇により一時的に国内ではなく海外に目を向ける声が増えましたが、実際には国内旅行市場に戻りきれない構造的な要因が影響しています reddit.comjref.com。
📊 支出は回復傾向、内訳に偏りあり
- 国内旅行の総支出は2025年には前年比103.8%で回復傾向、一人あたり支出も47000円程度と上昇傾向ですが JTB Corporation。
- ただし、その支出の恩恵は「パッケージ旅行」よりも個人旅行・高年所得層に偏っており、市場の裾野が広がっているとは言い難い状況です。
🎯 なぜ政府が焦るのか?
理由 | 背景 |
---|---|
観光立国政策との乖離 | インバウンド偏重では地域活性化の持続性に疑問が残る |
地方の疲弊 | 地元住民の旅行離れは、地域経済をさらに冷やす要因 |
将来の需要減 | 少子高齢化が進む中で、若年層をどう取り込むかの課題 |
政府の「観光立国」構想では、地域へのリピーター増やワーケーションの推進による関係人口づくりを進めていますが、実効性ある施策としてはまだ道半ばです ツギノジダイ。
🛠 改善のカギはここにあり!
- 有給取得しやすい環境整備:働き方改革や休暇制度の充実が必要
- ミニ旅・小旅行の推進:近場・短期間・低価格モデルの普及
- ワーケーション・地域関係人口促進:旅行と住民交流を組み合わせた観光施策
- 若年層への魅力的情報発信:SNS世代に響く地域プロモーション
✅ まとめ:国内旅行減は「構造変化」のサイン
- 国内旅行者数の数値だけでは語れない不均衡な市場回復
- 若年層の旅行意欲は高い一方、高齢層の不参加や休暇不足が顕著
- 経済・時間・健康・混雑への懸念が旅行決定の妨げに
- 政府・自治体・旅行業界は、この変化に対応すべく新たな構造改革が求められています
日本の観光業は今、「選ばれ続ける魅力」と「誰でも気軽に行ける環境」を両立できるかが鍵です。政府も業界も、本気で”国内旅行を取り戻す”手立てを検討する時期に来ています。