■背景:なぜ保守層が自民党を離れたのか?
かつて保守層の圧倒的な支持を集めていた自民党ですが、近年ではその一部が国民民主党や参政党に流れています。特に2022年以降、物価高・外国人労働者問題・スパイ防止法の未整備・増税路線といった政策課題が、「本来守るべき国益から乖離しているのではないか?」という疑念を生み出しています。
保守層が自民党に求めていたのは、「日本の伝統と安全保障、そして国民の生活の安定」を第一にする姿勢でした。その点で国民民主党の「現実的保守」と、参政党の「草の根愛国路線」が、失望した有権者の新たな受け皿となってしまったのです。
■保守層を取り戻すための5つの戦略
① 増税路線の見直しと、明確な家計支援の打ち出し
自民党が支持を失った大きな要因の一つが「防衛費増額に伴う増税」です。保守層であっても、自身の生活が厳しくなると支持は続きません。対抗勢力である国民民主党は「給料が上がる経済」を掲げており、参政党も「減税と自助共助」を主張しています。自民党も大胆な減税策や消費税軽減、現金給付のような家計支援政策を提示する必要があります。
② 外国人労働者・移民政策の見直しと、治安・文化維持への配慮
保守層が強く反発しているのが、外国人労働者受け入れの拡大です。技能実習制度の見直しや特定技能制度の拡充には賛否両論があり、「日本人の雇用が奪われている」「治安や教育が崩れる」という不安が広がっています。これに対し、自民党は「移民ではない」と強調していますが、説得力に欠けているのが現実です。厳格な在留管理や、外国人犯罪・生活保護対策の強化を打ち出すべきです。
③ 情報戦への備えと「スパイ防止法」制定の明言
参政党支持層が強く訴えているのが「国家としての防諜(スパイ対策)」です。実際、他の先進国では当然のように設置されているスパイ防止法が、日本には未整備のままです。この問題を放置し続ける限り、「国家を守る気がない」と見なされてしまいます。勇気を持ってこの法整備に踏み込むことは、保守層の信頼回復に大きな効果をもたらします。
④ 若年層・子育て世代に向けた明確なメッセージ
保守層の中でも30~40代の家庭持ち世代は、生活の安定と教育環境の改善を重視しています。自民党は防衛・外交・経済を語るだけでなく、「なぜ自民党がこの国の子どもたちを守るのか」を言語化しなければなりません。国民民主党の「子育て支援充実」や参政党の「教育改革」に対抗する政策パッケージが必要です。
⑤ 草の根との対話強化と“顔の見える政治”へ
参政党が急速に支持を集めた背景には、「一般市民が政治を語れる場づくり」の存在がありました。地方ごとの勉強会や街頭演説での対話を重視したスタイルは、保守層の“政治的疎外感”を解消したのです。自民党も全国の地方議員と連携し、地元の声を中央に届ける仕組みを明確に再構築すべきでしょう。
■まとめ:原点回帰こそが、最大の防御
自民党が本来持っていた“保守本流”の価値観――国家の独立、経済の安定、国民の生活防衛――。この原点に立ち返り、真正面から国民と対話し、時には既得権益にも切り込む姿勢を見せなければ、流出した保守層を取り戻すことはできません。
浮動票や無党派層に目を向けることも大事ですが、まずは「本来の支持者」を再び振り向かせること。そのためには“国のかたち”をどう守るのかという根本を、政党として改めて示す時です。