2025年の東京都議選・参議院選挙を経て明らかになったことがある――それは、保守層の一部が明確に「自民党離れ」を起こし、国民民主党や参政党といった比較的新しい勢力に支持を移しているという事実だ。

この現象の背景には、自民党が「日本人ファースト」の政策を十分に打ち出せないという構造的な事情がある。そしてその空白を突いてきたのが、いわば“政策補完勢力”としての国民民主や参政党である。

国民民主・参政党が掲げる政策とは?

まず、国民民主党や参政党が掲げる主張の多くは、本来なら自民党の保守派が前面に押し出すべき内容だった。

  • 積極的な財政出動による景気刺激策
  • 食料安全保障や水資源保護などの国土防衛政策
  • 移民受け入れ拡大に対する慎重論
  • 教育無償化、家族政策の強化

これらの政策は、かつての自民党が「日本を取り戻す」スローガンのもとで支持を集めたときに掲げていたものである。だが、現在の自民党はこの路線を十分に追及できていない。その理由は何なのか?

自民党内に横たわる“政権維持”のジレンマ

自民党が「日本人ファースト」政策を躊躇する最大の理由は、政権を安定維持するための与野党協調・官僚機構との妥協にある。

  1. 財務省の存在
    • 日本型財政均衡主義にこだわる財務省の影響力は非常に強く、積極財政を訴える議員は冷遇されがち。結果として、自民党内でも「減税」や「給付金拡充」などの声が表に出にくい。
  2. 経団連との関係
    • グローバル企業との繋がりが強い自民党執行部は、労働力不足を理由に外国人労働者の受け入れ拡大を推進。これは「日本人の雇用と賃金を守る」という視点と必ずしも一致しない。
  3. 公明党との連立
    • 公明党は社会福祉や外国人支援に熱心なスタンスをとるため、過激なナショナリズム的政策との調整が求められる。これが保守的な政策のブレーキになっているのも事実。

なぜ国民民主・参政党が注目されるのか?

こうした自民党の“動けなさ”に対して、国民民主党や参政党は自由に政策を掲げられる立場にある。彼らは「しがらみがない」「国益優先」と訴えることで、特にネット世代や地方の若年層、家庭を持つ30〜50代に訴求力を持ち始めている。

また、SNSを駆使したダイレクトな情報発信で、「マスコミに頼らない」スタイルも支持されている。

自民党はどうすべきか?

自民党が本来の支持層を取り戻すには、以下のような方針転換が必要だ。

  • 財政規律ではなく国民生活重視の経済政策へ
  • 移民政策に慎重な再検討と“国民の声”の反映
  • 地方経済再生と家族政策の抜本的強化
  • 党内保守派の発言力を強化し、現実的なナショナリズムを回復

今、自民党が動かなければ、保守層の“漂流”はますます進み、次の衆院選では国民民主や参政党がさらなる躍進を遂げる可能性がある。


結びに

かつて「保守本流」と呼ばれた自民党が、自らの原点を忘れ、政権のための“安全運転”を続けている間に、国民の目線は変わりつつある。いま求められているのは「信念ある政策」であり、それができなければ政党としての存在意義も問われる時代がやってきている。

今こそ、「誰のための政治なのか」を真正面から問うべきときなのだ。

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