2025年の夏、日本列島は連日猛暑に見舞われています。東京都心では35℃を超える猛暑日が常態化し、埼玉・群馬では40℃近い気温を観測する日も珍しくありません。このような状況下でも、多くの人々が通勤電車に揺られ、炎天下を歩いて職場へ向かっています。まさに「真夏の通勤は命の危険を伴う」状態と言えるでしょう。それでも社会は動き続け、経済を優先する風潮が強まっています。
1. 危険な「真夏の通勤」実態
(1) 朝から30℃超えの異常な暑さ
2024年8月、東京では**朝7時の時点で気温が30.2℃**という日がありました。満員電車に乗り込み、駅から徒歩10〜15分歩くだけで汗だくになり、熱中症のリスクが高まります。
(2) 熱中症搬送の増加
総務省消防庁のデータによると、2024年の7〜8月に全国で熱中症で搬送された人は約6万人に達しました。そのうち通勤・通学中に倒れたケースも多く報告されており、社会活動そのものが命を危険にさらしている現実が浮き彫りになっています。
2. 「命より経済」が優先される日本社会
(1) 在宅勤務の縮小
コロナ禍で広がったテレワークは、2023年以降大幅に縮小され、多くの企業が「出社回帰」を進めています。総務省の調査では、首都圏のテレワーク実施率はコロナ禍の50%から約15%に低下。酷暑の中でも出社を強いられるサラリーマンが増えています。
(2) 「自己責任」の空気
熱中症で倒れても「自己管理不足」とされるケースが多く、企業側の環境改善が進みにくい現状があります。特に営業職や建設業では「暑さは我慢するもの」という古い体質が残り、働く人の健康は後回しにされています。
(3) 学校行事にも影響
通勤だけでなく、通学でも危険が指摘されています。2023年には、運動会の練習中に小学生が熱中症で搬送される事例が全国で相次ぎ、文部科学省は「夏季行事の時間短縮」を呼びかけましたが、現場では対応が追いついていないのが実情です。
3. 海外との違い
欧米では、猛暑時に**「サマーバケーション」や「シエスタ(昼休憩)」**を導入し、日中の労働を減らす文化が根付いています。フランスでは40℃を超える猛暑時に外出を控えるよう政府が呼びかけ、企業も柔軟な勤務対応を取ります。
一方日本では、猛暑日でも通常勤務が当たり前であり、結果として「命より経済を優先する社会」となっています。
4. 今後必要な対策
このままでは、真夏の通勤や業務による健康被害はさらに深刻化するでしょう。必要な対策としては:
- テレワークや時差出勤の推進
- 猛暑時の労働制限(欧州のような法的規制)
- 公共交通機関や職場での冷房強化
- 夏季休暇の長期化や分散取得
5. まとめ:命を守るための「働き方改革」が急務
真夏の通勤は、すでに「危険行為」と言っても過言ではありません。それでも「経済を止めない」という名目のもと、多くの人が命を削りながら働き続けています。このままでは、命よりも経済が優先される社会構造が固定化してしまいます。
本当に守るべきものは「経済」なのか、それとも「人の命」なのか。猛暑の中で働き続ける現実は、私たちにその問いを突きつけています。