今年(2025年)の夏、日本各地で花火大会の中止や事故が相次いでいます。開始直後に暴発が起きて中止になった大会、打ち上げ台船が炎上した大会、従来の会場運営が困難になり開催を断念した地域――報道は連日これらのニュースを伝え、住民や観光関係者に衝撃を与えています。まずは最近の具体例を挙げ、そこから「なぜ続くのか」を分かりやすく整理します。FNNプライムオンライン朝日新聞


直近の“目に見える”事例(抜粋)

  • 淡路市(国営明石海峡公園):開始約10分で「筒の中で花火が暴発(低い位置で爆発)」する事故が発生し、中止に。観客にけがは出なかったが、打ち上げを担当した業者は原因として「筒ばね(筒内破裂)」の可能性を挙げている。FNNプライムオンラインsun-tv.co.jp
  • 横浜・みなとみらい:海上の打ち上げ台船2隻が炎上、引火や暴発が続く事態となり大会中止・救助対応に。会場周辺や海上保安に影響が出た。朝日新聞
  • 鳴門市など(過去の事例含む):住宅の増加やソーラーパネルへの“燃えかす”付着など住民からの苦情を理由に中止・規模縮小になった大会も報告されている。毎日新聞

これらの報道は「単発のトラブル」ではなく、複数要因が同時に重なっている構図を示しています。


中止・事故が相次ぐ「5つの主要因」

1) 技術的トラブル(筒内破裂=「筒ばね」など)

打ち上げ筒の中で花火が正しく発射されず内部で爆発する「筒ばね(筒内破裂)」は、近年起きている事故の一因と指摘されています。火薬量の不均一、筒サイズの不適合、湿気や機材の劣化、導通器の接触不良など複数の要因が重なって発生しやすく、現場で即座にゼロにするのは難しい面があります。実際、淡路市の事故では現時点で「筒ばね」が原因と報告されています。sun-tv.co.jpanzeninfo.mhlw.go.jp

2) 天候・気候の不安定化(台風・集中豪雨・猛暑)

近年の夏は台風の接近や局所的な豪雨、極端な猛暑が短期間で発生しやすく、直前の中止判断が増えているほか、強風や高波が海上打ち上げの安全を脅かすケースも散見されます。気象リスクは観客安全や船上設備の安全性に直接影響します。テレ朝NEWS

3) 人員不足・高齢化・人件費高騰

大会を支える実行委員会の運営スタッフや警備員、花火師(煙火師)の高齢化と後継者不足が深刻化しています。主催側調査では「資金不足」「人手不足」が上位に挙がっており、運営負担が拡大すると安全対策や検査コストを確保するのが難しくなります。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMESFNNプライムオンライン

4) コスト増(警備・保険・資材費の上昇)

警備員の単価上昇やイベント保険、花火原料や打ち上げ設備のコスト上昇により、開催費用が大幅に増えています。結果として主催者が開催を断念したり、規模縮小・有料席化で負担を客側へ転嫁する動きが出ています。ダイヤモンド・オンラインテレ朝NEWS

5) 地元住民からの苦情・周辺環境の変化

以前は人家が少なかった会場周辺に新築住宅や太陽光パネルが増え、「燃えかす(花火の残骸)」による汚れや被害を懸念する声が増大。苦情を理由に中止判断をした自治体の事例もあり、地域事情の変化が開催継続を難しくしています。毎日新聞


なぜ「事故が増えた」と報じられるのか — 背景の相互作用

上の5要因は単独で動くこともありますが、重要なのは相互に連動する点です。コストや人手の余裕がない現場で安全対策をぎりぎりで運用すると、機材点検や再試射など余裕のある確認作業が省かれがちになり、天候トラブルや筒ばねのような技術的問題が発生した際に事故に直結しやすくなります。報道でも「コロナ禍での中断→復活で経験者不足が露呈」「運営コストの圧迫で安全対策費を十分に確保できない」という指摘が出ています。ダイヤモンド・オンラインプレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES


生じている“副次的な問題”も見逃せない


主催者・自治体・観客に求められる具体的対策(実践的提案)

主催者/自治体側

  • 事前の安全点検強化と第三者チェック:導通器や発射装置の定期交換、専門家による現場チェックの義務化。anzeninfo.mhlw.go.jp
  • 有料席化・入場制限で人数管理を厳格化:警備費用・救護体制を確保するため有料席導入が進んでいる。テレ朝NEWS
  • 代替演出の検討:光や音楽、レーザーショー等を組み合わせるハイブリッド開催(鳴門の代替イベントの事例など)。朝日新聞
  • 資金確保の仕組み作り:クラウドファンディング、ふるさと納税や企業協賛の恒常化で運営資金を安定化。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

業界として

観客(来場者)への注意点

  • 公式発表を必ず確認(天候や当日運営ルールは直前に変わる)
  • 有料席購入や公式経路での入場を推奨(安全確保と地元支援につながる)
  • 会場でのゴミ持ち帰りや近隣配慮を徹底(住民反発の抑制につながる)

最後に — 花火を「守る」ためには何が要るか

花火大会の中止・事故は単なる夏の話題にとどまりません。安全確保・経済性・地域住民との共存・技術継承——これらを同時に満たす取り組みが求められます。短期的には警備・検査の強化、有料席化、代替演出の活用でリスクとコストを抑えることが現実的な対応です。一方で、長期的には若手技術者の育成、地域の理解形成、安定した資金基盤の構築が不可欠です。行政、産業界、地域住民、観客が責任を分担して初めて、夏の夜空を安心して楽しめる「花火文化」を守ることができます。FNNプライムオンライン朝日新聞毎日新聞プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES


参考・出典(主な報道・調査)

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