三重県の山々が、ここ数年で大規模に削られ、そこに巨大なメガソーラー(大規模太陽光発電所)が建設される事例が相次いでいます。かつては豊かな森林が広がり、野生動物や住民の暮らしを支えていた山が、次々とパネルで埋め尽くされていく光景は、多くの住民に「これで本当に地域は良くなるのか?」という疑問を投げかけています。
どんな問題が起きているのか?
1. 環境破壊と土砂災害リスク
三重県いなべ市では、広大な森林を伐採してメガソーラーを設置した結果、
- 大雨の際に土砂崩れのリスクが急増
- 河川への土砂流出による水質悪化
- シカやイノシシが山から下りてきて農作物を荒らす
といった問題が報告されています。山を削るということは、単なる景観の変化にとどまらず、防災や生態系全体に影響するのです。
2. 誰のための発電なのか?
地元住民からよく出る疑問がこれです。
実際に調べると、発電された電気は必ずしも地域で使われるわけではなく、大手電力会社に売電され、利益は東京や海外の投資ファンドに流れているケースが目立ちます。
例えば、三重県津市の事例では、海外資本の企業が参入し、売電収益は地元経済にほとんど還元されないまま県外に流出しています。住民からすると「山を壊され、景観も失い、リスクだけ残った」という構図になりかねません。
3. なぜ国は簡単に許可するのか?
背景には 再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT) があります。
- 国が「再生可能エネルギーで発電された電気を一定価格で20年間買い取る」と約束
- 太陽光事業者にとっては「確実に儲かるビジネス」になる
- 自治体の許認可も国の方針に沿って形骸化しやすい
つまり、国が進める「脱炭素政策」の名のもと、地方の自然が犠牲にされているのです。
4. 政治家は住民の声を聞いているのか?
現場の住民からは、次のような声が相次いでいます。
- 「説明会は形式的で、質問しても答えてもらえなかった」
- 「住民の反対署名を集めたが、結局工事は進んでしまった」
- 「政治家は地元より企業側の意向を優先しているのではないか」
実際、メガソーラー建設の背後には大手ゼネコンやエネルギー企業、そしてそれを後押しする政治家の存在があります。利権構造が見え隠れする中で、地域住民の声は軽視されがちです。
具体例:全国で相次ぐトラブル
三重県だけでなく、日本各地で同様の問題が起きています。
- 静岡県熱海市:山の斜面に設置された太陽光パネルが、土砂災害の一因と指摘。
- 長野県諏訪市:湖畔の景観を損なうメガソーラーに観光業界から反発。
- 兵庫県佐用町:大型台風でソーラーパネルが飛散し、住民の生活圏に被害。
これらは「再エネ推進」の名のもとに強行された結果の副作用ともいえます。
本当に必要なのか?
再生可能エネルギー自体は重要なテーマです。日本が脱炭素を進めるために、太陽光や風力の導入は避けて通れません。
しかし、
- 森林を伐採してまで設置することが持続可能なのか?
- 地域住民がリスクを負い、利益が外部に流れる仕組みで良いのか?
- もっと住宅や工場の屋根、既存の都市部の空き地を有効活用できないのか?
という点は、真剣に見直すべきでしょう。
まとめ
三重県の山々が削られ、巨大メガソーラーに置き換わる現実は、「環境に優しいはずの再生可能エネルギー」が新たな環境破壊を生んでいる皮肉な状況を示しています。
再エネ推進そのものは重要ですが、
- 「誰のための発電なのか」
- 「地域にどう還元されるのか」
- 「自然や安全とのバランスは取れているのか」
これらの視点を抜きにした政策や事業は、持続可能とは言えません。
住民が声を上げ、政治家が耳を傾け、より公正で地域と共存できるエネルギー政策を模索することが今こそ求められています。