今や、SNSのトレンド欄を見るたびに
「本当にこれ、自然に話題になったの?」
「また変なハッシュタグが上がってる…」
そんな疑問や不信感を抱いたこと、ありませんか?

SNS、特にX(旧Twitter)におけるトレンドは、かつて「世の中のリアルな関心」が集まる場所として重宝されていました。しかし、今やその価値は大きく揺らいでいます。なぜなら、トレンドが“組織的に操作される”事例が後を絶たないからです

今回は、具体的な事例を紹介しながら、SNSトレンドがいかに悪用され、信頼を失いつつあるのかを解説します。


トレンドとは本来何のための機能だったのか?

もともとトレンド機能は、「今、SNS上で急速に注目されている話題をリアルタイムで表示する」ために設計されていました。自然発生的なニュースや炎上、流行語、人気番組のタグなどがユーザーの関心を集め、世論や空気感を可視化する手段として機能していたのです。

しかし、その「注目を集めた言葉が上位に出る」という仕組みが、極めて簡単に“狙って”操作できることが、悪用の温床となってしまいました。


トレンド悪用の具体例

▶ 1. 政治団体によるハッシュタグキャンペーン

近年、日本でも選挙のたびに目立つのが、特定の政治団体が仕掛ける組織的なハッシュタグ運動です。

具体例:

  • 「#〇〇政権打倒」や「#△△を許すな」など、同一フォーマットの文言を一斉投稿
  • ツイート主の多くがフォロワー数0~数人、または鍵アカウント
  • さらに調査を進めると、海外IPからの投稿が含まれていたケースも…

こうした投稿の目的は、「国民の怒りが可視化されている」と錯覚させること。まさに世論の捏造です。


▶ 2. ファン同士の“トレンドバトル”

エンタメ業界でも、アイドルやアニメファンがトレンド入りを競い合う文化が生まれました。

例:

  • 新曲リリースと同時に「#〇〇しか勝たん」などのハッシュタグでツイートを呼びかけ
  • 数万件が短時間に集中することで、実際には広く話題になっていないにもかかわらず、トレンド入り

これは一見無害に見えますが、本当の人気や話題性との乖離を生み出し、「トレンドの信頼性」を著しく損ないます。


▶ 3. 炎上マーケティングや悪意ある誘導

ある企業の商品やインフルエンサーが意図的に炎上を引き起こし、
「話題になっている=バズっている」と認識させる手法も登場しています。

例:

  • 意図的に過激な広告を出す
  • それに対して批判のツイートが集中
  • 結果「#〇〇炎上」がトレンド入り → PV数や注目を稼ぐ

これはもはや「負の注目」を使ったマーケティングであり、健全とは言えません。


なぜこんなことが可能なのか?

▶ アルゴリズムの穴を突いた“数の暴力”

SNSのトレンドアルゴリズムは、投稿数やツイートの急増率に依存しています。つまり、「同じワードが短時間に多く投稿される」ことで、誰でも簡単にトレンドを作れてしまうのです。

この仕組みを逆手に取り、以下のような方法でトレンドが作られます:

  • ボットや捨てアカウントによる大量投稿
  • 呼びかけによるファンの同時投稿
  • 投稿テンプレートを配布して一斉実行
  • リツイート数を一気に稼ぐ施策

本来の“自然な関心”とはかけ離れた「人工的な話題」が、あたかも注目されているかのように見える──これが現在のSNSの現実です。


SNSの価値はどこにある?もう見る意味はないのか?

▶ 失われつつある「信頼性」

トレンド欄に並ぶ言葉の多くが、「操作された結果」であると知ったとき、多くのユーザーはこう思います:

「じゃあ、何が本当に話題なのか、もう分からないじゃん」

これは、SNSにとって最大の損失です。「何が流行っているかを知りたい」と思って開いたのに、それが**広告や工作による“嘘の注目”**だったら…もはや情報源としての価値を失ってしまいます。


▶ SNSは“見る場所”から“演出される場所”へ

今のSNSは、リアルな声を反映する場所ではなく、
誰かが“見せたい現実”を演出する舞台になっています。

つまり、あなたがトレンドを見て「みんなが怒っている」「これが今の流行なんだ」と思っても、それは仕掛け人の狙い通りかもしれません。


では、どう付き合うべきか?

✔ トレンド欄は“参考程度”に見る

すべてを信じるのではなく、「誰が仕掛けた話題なのか?」「投稿しているのはどんなアカウントか?」といった視点を持つことが大切です。

✔ 情報の一次ソースに当たる習慣を持つ

気になる話題があれば、SNSのまとめサイトやニュースメディア、発信元アカウントをチェックして、裏を取る姿勢を持ちましょう。

✔ 必要ないなら、“見ない選択”もあり

SNSはツールであり、義務ではありません。トレンド機能をオフにする、SNS自体から距離を置く──それも、健全な自衛手段です。


結論:「トレンド」が信じられない今、本当に見るべきものとは?

SNSのトレンドはかつて、社会の空気を映す鏡でした。
でも今は、“見せたい空気”が映されるスクリーンに変わってしまった。

それでもSNSに価値があるとすれば、それは「自分が信頼する人や情報源とつながること」にあります。
トレンドに流されず、自分の目で確かめ、自分の頭で判断する。

それこそが、今のSNSと付き合うために最も大切なスキルなのではないでしょうか。


📌 最後に

「なんでこんなハッシュタグが流行ってるの?」
そう感じたときこそ、一歩立ち止まってみてください。
もしかしたら、それは“あなたに見せたい話題”であって、“みんなの本音”ではないかもしれません。

投稿者 ブログ書き