近年、SNSのトレンド欄に突如として「〇〇最悪」「△△終わった」など、個人や企業、芸能人に対するネガティブなワードが浮上することが珍しくなくなってきました。これらの悪口は一見、自然発生的に見えるかもしれませんが、実はその裏に組織的な意図や操作が隠されている場合もあるのです。
今回は、SNSトレンドに上がる悪口がどうやって生まれ、拡散され、場合によっては組織的に操作されているのかを、具体的な例とともに解説します。
SNSトレンドとは?どうやって決まるのか
まず前提として、Twitter(現X)やInstagram、TikTokなどのSNSでは、「トレンド」や「おすすめ」という機能があります。特にXでは、一定時間内に特定のキーワードが急激にツイートされたり検索されたりすると、「トレンド入り」する仕組みになっています。
つまり、短時間に多くのユーザーが同じキーワードを使えば、その言葉がトレンドに浮上するのです。
組織的な悪口操作の仕組み
1. ボットアカウントの大量投入
多くの人が知っている通り、**自動化された「ボットアカウント」**は、特定のキーワードを拡散するために使われます。たとえば「〇〇嫌い」「〇〇最低」といったフレーズを、多数のアカウントで一斉にツイートすれば、それだけでトレンドに上がる可能性があります。
具体例:
2020年頃、日本のある人気タレントがテレビ出演直後に「〇〇消えろ」というハッシュタグが突如トレンド入りしました。しかし調査の結果、そのツイートの多くがプロフィール未設定・フォロワー数ゼロのアカウントから発信されており、短時間に大量投稿された痕跡が明らかになりました。
2. 「地下アカ」や「裏垢」による連携
有名人や企業のアンチが、DMや専用の掲示板、LINEオープンチャットなどで連携を取って一斉に投稿を開始するケースもあります。この場合、ボットではなく人力で投稿されるため、より「自然な反応」に見えます。
具体例:
あるVTuberの炎上事件では、初期の段階で数人のユーザーが匿名掲示板で「〇時に一斉にツイートしよう」と呼びかけ、その結果「#〇〇引退しろ」がトレンドに入りました。後に運営元が開示請求を行ったところ、複数の投稿が同一のIPアドレスから行われていたことが分かっています。
なぜ組織的に悪口を拡散するのか?
1. イメージダウンを狙った情報工作
一部の事務所や企業、またはライバル陣営が他者の評判を下げるために情報操作を行うということは、残念ながら現実に存在します。政治の世界では「ネガティブキャンペーン」と呼ばれる戦術の一種です。
2. 広告収入や閲覧数のための炎上マーケティング
ネガティブな話題は、ポジティブな話題よりも拡散力が高いことが分かっています。そのため、炎上を利用してアカウントの注目を集めたり、アクセス数を稼ごうとする人たちが意図的に煽るケースもあります。
私たちはどう対応すべきか?
- 感情的に反応しない
トレンドに悪口があっても、即座に反応せず、情報の出所を冷静に見極めることが大切です。 - 情報操作の可能性を疑う目を持つ
「これって本当に世間の声?」という疑問を常に持つこと。多数派のように見えて、実は少数の組織的な動きであることもあります。 - 不正行為を通報する
X(旧Twitter)やInstagramなどには、スパムや嫌がらせ行為を報告する機能があります。明らかに不自然な投稿があれば、通報を活用しましょう。
まとめ
SNSのトレンド欄に入る悪口は、決してすべてが「自然発生的」なわけではありません。そこには時に、ボットの活用、組織的な連携、意図的な情報操作といった要素が絡んでいるのです。
ネット上の情報に踊らされず、冷静な目で真偽を見極める力を、私たち一人ひとりが持つことが、これからの情報社会に必要な「リテラシー」なのかもしれません。